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| ジャックス/ジャックスの奇蹟 | |
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TOCT-25338 |
メンバー交代を経てロック色を強めた“あぶない”カルト・バンドの第2作。
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ひきずり込まれるような音楽。曲が良いとか悪いとか、音の完成度やバランスなどという客観的な尺度をねじ伏せてしまうような有無を言わせぬ音楽。普段は考えないようなことや感じないようなことに飲み込まれてゆくような吸引力のあるロック。ジャックスとの出会いはそんな強烈なものだった。曲は、68年に発売された1枚目のアルバム『ジャックスの世界』に入っていた「からっぽの世界」だった。 60年代後半というのは極めて特殊な時代だった。過激な学生運動や前衛的なアングラ演劇。形こそ違え、それまでの大人が作り上げてきた価値観の拒否が前提にあった。社会的な価値観や道徳的概念、生き方そのものへの疑問や異議申し立て。その問いかけの深度が深ければ深いほど、そこに生まれた絶望の度合いも比例した。ジャックスはそんな時代の心情を“情念”として作品化した希有なバンドだった。 彼らの結成は1966年。1枚目のアルバムレコーディング時は、早川義夫(V・G)、水橋春夫(G・V)、谷野ひとし(B)、木田高介(D)。その後、水橋春夫が脱退、木田高介がキーボードやサックスを担当、ドラムにつのだひろが参加している。ちなみに水橋春夫は後に音楽ディレクターとして横浜銀蠅やWinkを手がけている。芸大の打楽器科へ進学していた木田高介はその後、ニューミュージック系の売れっ子アレンジャーとして活躍、80年に自動車事故で亡くなった。早川義夫はソロになり、後に音楽活動を引退し本屋さんを開業した。つげ春乱というのは、漫画家つげ義春に傾倒していた彼の別名だった。 このアルバムは69年10月発売の2枚目。すでにレコーディングが終わった時点で解散を表明した後に出たものだ。フォーク・クルセダーズがいたフォーク系の高石音楽事務所に所属はしていたものの、一連の関西フォークとも明らかに異質であり、ロックバンド自体が商業的に成り立つ環境にないというロック不在の時代。メンバー個々の音楽的志向の違い。赤字続きの経済状態。居場所も理解者もないまま解散したと言ってしまって良いだろう。ジャズやロカビリー。1枚のアルバムには未整理とも言える多様さを持ちつつ、そこに込められた“同化出来ない”若者達の闇を縫うような心情は胸を打つだろう。 田家秀樹 |